IRの重要性は一層高まる!

「IR」とは「インベスターリレーションズ(Investor Relations)」の略称で、株主や機関投資家に対し、投資判断に必要となる情報を適時・適切・公平に、かつ継続的に提供する活動を意味します。

 

上場企業であれば、規模・業種を問わず、どんな企業であっても投資家・株主の存在が欠かせません。従って、IR担当者の存在も必然となります。

 

これから上場しようとするスタートアップ企業にとっては、IRの重要性はより大きいと言えますね。

 

しかし、現実的には広報や総務、経理、財務などと一括りにし、兼務対応する場合が現状かと思います。人員配置等から致し方ないと理解します。

 

また具体的にどのような準備をすればよいのか?どう活動をすればよいのか?…など、不明確な点が多くあります。

そこで理想論は抜きに、より現実的な…

 

「IR活動を10倍効率化!するポイント」について整理したいと思います。

 

IRとPR(広報)との違い

まず、IRと混同されやすいのにPR(広報)があります。

企業によっては広報がIRを担当している場合も多いと思いますが、厳密にはその活動範囲は異なります。

PR(広報)とは、Publicであり、公に向けて自社の商品やサービスを広く宣伝する取り組み活動を指します。

 

つまり、PR(広報)は社会、取引先及び顧客全体を対象に情報を発信するのに対し、IRは株主や機関投資家を対象とする点で大きく異なるのです。

 

対象が異なるのであれば、当然に発信・提供する情報を明確に変えないといけません。
例えば… 「大人向け商品 を子供売場 で販売しても」 …ですよね。

 

そのためまずは、対象者の欲している情報を整理し理解する必要があります。

 

株主・機関投資家の欲している情報

では、株主・機関投資家が欲している情報とはなんでしょうか…

端的に「一般的には取得しづらい情報」と言えます。

具体的には以下のような項目が挙げられます。

 

① 市場シェア

➁ 市場の成長性

③ 事業内容及び戦略

④ 中期経営計画

⑤ 当期業績見込み

⑥ 過去の成長率・計画達成率

⑦ 株主還元施策

 

ひとつひとつ、一緒に確認していきましょう。

 

① 市場シェア

これは各企業とも調査・分析済みの情報かと思います。

しかし、これはその企業だから当然に持ち合わせている情報であり、一般の投資家が取得しようとすると一定のコストと労力を要します。

従って、ポイントを整理し、分かりやすく、受け取り易いかたちで提供すると良いでしょう。例えば自社の順位、TOP5企業名、過去1年間のシェア変動情報などです。

 

なお、留意する点があります。それは「開示の継続性」です。

 

一度提供した情報は今後も継続的に提供する必要があることを前提に準備、整理してください。

法令等で強制されるものではないですが、「これまで開示していたのに当期から開示しなくなった」となると…何か不都合な状況になっている…という憶測が走るからです。

 

投資家はこのような微妙な情報の変化に大変に敏感です。認識しておきましょう。

 

今後も集計しやすい管理体制、継続伝達しやすい説明方法など、検討・準備したうえで開示することが大事になります。

これは以下に掲げる各項についても共通して言えることとなります。

 

➁ 市場の成長性

これも各企業は持ち合わせながら、一般投資家が得づらい情報ですね。

是非とも整理して、自社の成長性を強調できる提供方法を検討してください。

 

市場の成長にも2つあるかと思います。

1つは、数量(ボリューム)による成長性、もう1つは単価(バリュー)の成長性です。

両側面の情報を整理したうえで、自社の戦略をそれぞれに当てはめて整理してください。

 

例えば、数量増加が今後も見込める市場であれば、成り行きでも一定の成長が実現できるのか、または市場シェアを取るためあえて低価格で拡販する戦略であるのか、などを整理したうえで自社の戦略を強調することできます。

 

また一方、今後の数量増加が見込めない市場であれば、積極的なプレミアム化による単価アップ戦略による成長を伝える必要があります。

 

場合によっては、各市場成長性と上記①のシェア情報とを組み合わせて説明することも可能となり、IR活動の差別化にも繋がります。

「数量(ボリューム)シェアでは低い位置であるが、販売価格(バリュー)シェアでは上位となり、当社の今後の戦略と実効性の確度は高い」などと強調することができます。

 

このような情報の組み合わせをすることで、TV広告とは違った自社価値伝達ができるのもIR業務の醍醐味かもしれません。PR(広報)との最たる違いですね。

 

次を見ていきましょう。

 

③ 事業内容及び戦略

こちらも投資家を取り込むために丁寧に対応したいところです。

事業内容を理解しやすい資料を作成し、それに沿った説明をすることで投資家の理解を飛躍的に高めることができます。

 

ただし、全く新規に作成する必要はなく、HP用に作成した事業説明情報など「すでに有るものを積極的に活用」することも大事です。省エネで行きましょう。

 

ここはPR(広報)と共に、効果的に対応したいところです。また同一情報を活用することで、投資家から得られる意見を活かして改善することも可能となります。

省エネかつ相乗効果的に進めましょう。

 

IRとしては、その先が重要となります。つまり「事業戦略の説明」です。

IRの真骨頂ともいえるでしょう。

 

是非ともここは、説明用の資料を準備したいところです。

例えば、製品、サービスの優位性・差別性・強み・参入障壁としてどのような点があるのか・今後どのように事業を伸ばしてくのか… 魅力的に伝えたいところです。

 

ただし留意点があります。

上述の継続性に加え、ここは「競合企業の視点」です。

つまり、投資家やアナリストに提供した情報は競合にわたる、研究されるという点を忘れてはいけません。

 

情報を積極的に出すIRは、投資家から見れば良いIRのように見えますが、社内(社長や事業部長)にとっては真逆です。敵陣に塩を送ることにもなるからです。

つまり、投資家と社内評価は反比例するということです。

「両者のバランスを考えたIR」が良いIRといえるのです。

 

また「競合IRから情報を得ることもIR業務の一環」とも言えます。

IRは情報発信だけではない、むしろ… ということも忘れてはいけません。

 

④ 中期経営計画

上場又は上場予定の企業であれば中期経営計画は策定されていると思います。
しかし、すべての上場企業が中期経営計画を開示しているとも限りません。

 

個人的には中期経営計画は可能な範囲で開示すべきと思います。理由は開示効果が大変に大きいからです。

3年~5年後の売上高、営業利益、利益率、ROEなど…示すことで情報の透明性は格段に高まります。企業の価値向上に直接繋がります。

 

実は、社内に向けた目標メッセージ効果もあるのです。社員の目標意識、ベクトルを合わせるためのツールにもなり得ます。IRの新たな側面と言えるでしょう。

大変に効果的なIR情報と言えるのです。

 

ポイントは「具体的な数値で示す」ことです。達成するための戦略内容も自然と明確化されていきます。

 

株主、機関投資家やアナリストは独自のモデルを作成します。

それと中期経営計画数値との違いについて精査し、質問をしてきます。

中期経営計画を開示することで、投資家やアナリストの考える成長性及びそのリスクについて建設的な議論が可能となります。自社計画をブラッシュアップする効果も生まれるのです。

 

開示効果は大変に大きいと考えます。

 

⑤ 当期業績見込み

各企業を取り巻く環境によっては業績を見込むことが難しい企業もあるかと思います。特に昨今のコロナ情勢により、難しい場合が多いかと思います。理解致します。

 

しかし、ここも可能な範囲内で積極的に開示したいところです。

内部の人間ですら当期業績が見通せない…となると、投資家はより一層不安になりますよね。「自分が投資家だったら…」と考える必要がある点です。

状況によるところは多面的にあると認識しますが、ぜひとも前向きに準備したいところです。

 

⑥ 過去の成長率・計画達成率

投資家又はアナリストとのミーティングの際に必ず聞かれる項目です。

昨年対比でどうだったのか?売上成長率、利益成長率、計画比較でどうだったのか?

 

増収増益で強い数字が出ているのであれば積極的にアピールしていきましょう!

 

増収だが減益の場合も多々あるかと思います。携帯電話事業に先行投資中である最近の楽天グループですね。

そのような場合も先行投資である点や、売上成長の強さなどを積極的に強調して行きましょう!

 

ここでも情報の相乗効果となるのが、⑤の中期経営計画です。

中期経営計画数値を準備していると、たとえ悪い数値が出たとしても、それはあくまでも短期的状況であると説明できます。中期計画内容に繋げ、投資家又はアナリスト視点を長期的視点に移行させていきましょう。

 

⑦ 株主還元施策

上場するということは、株主のことを第一に考える必要があるということですね。

なぜなら株主は企業の所有者ですから…

従って、株主還元施策についても積極的かつ丁寧にメッセージを伝える必要があります。

 

一般的には…

「当期利益の何割を株主還元に充てる」

「1株当たり何円配当とする」

「自社株買いをいくら規模で実行予定」など…があろうかと思います。

 

しかし、先行投資段階の企業においては配当比率が低い又は無配の企業も多いと思います。

そのような場合は積極的に「当社はグロース株である」点を強調していきましょう。

 

今後も持続的に成長することが期待でき、株価上昇実現で還元することができる当社であること、今の株価は割安であることを伝達したいところです。

 

その面で、自社株買いは「当社の株価はまだまだ低いと考えている」との経営者メッセージ効果もありますね。

自社株買い施策を打ち出すことは大変に効果的です。また既存株主が保有する1株価値も向上します。

 

しかし注意が必要です。

それは自社株を購入しただけでは、将来再度市場に流通する可能性もあるため、本当の意味での希薄化対策になっていないということです。

 

機関投資家等から、自己株式の消却要請があることも予想されます。

従って、予めそれに対する切り替えしも準備したいところですね。

例えば…「将来のM&Aの時に、株式交換として使うために保有している」などなど…

 

または「一定金額規模に達し次第、超過する部分は消却する」などの社内方針を定めておくことも株主の理解を得やすいと思います。

 

1つの株主還元施策基準として…

「当期利益の50%を株主還元施策に充当。そのうちの25%を配当に、25%を自社株買いに充当」

などが比較基準となる施策でしょうか。

ぜひとも参考にし、自社に適した株主還元施策を策定し、積極的に伝達して行きましょう。

 

想定QAの作成

 

上記項目について自社情報の整理ができたら、次は想定QAを作成していきましょう。

 

手間はかかりますが、想定される質問を項目別に列挙し、どのような回答をしていくか、徹底的に準備・シミュレーションしていくことを強くお勧めします。

そうすることで自分たちの理解度を高め、情報の整理にもつながるからです。

 

また必要となる社内情報については関連部署と連携しながら準備を進めます。

事前準備の段階で社内関連部門と調整を進めることで情報の確度を上げるとともに、IR活動中に追加情報が必要となった際にも効率的に連携を図ることができるからです。

事前準備の徹底がその後の効率性の面でも重要となります。

 

IR説明資料の作成

 

想定QAが作成できたら、次に説明資料の作成を進めましょう。

 

作成したQA内容に従い、積極的にアピールすべき情報とそうでない情報とを精査します。

アピールすべき情報を魅力的に伝達する資料の作成を進めて行きましょう!

 

その際ですが他社の決算説明会資料を参考にすることをお勧めします。

同業他社よりは異業種の資料の方が参考になる場合が多いです。新しい観点での作成を進めることができ、競合との差別化も図れるからです。

 

私の経験上ですが、作成に当たっての留意点として、「投資家は2行以上の文字は読まない」があります。

 

投資家やアナリストは複数企業を分析することから、それほど深くまで読み込む時間はないのが現実です。

情報をできるだけ絞り、円グラフや棒グラフ、折れ線グラフなどを活用し、簡潔で分かりやすい資料作成を心掛けてください。

 

IR担当として資料を作成すると、どうしても、あれも、これも、と伝えたくなる傾向があります。IR担当者のためのIR資料(自己満足)とならないよう留意してください。

 

繰り返しになりますが…

「投資家は2行以上の文字は読まない」… です。

 

顧客であります株主や機関投資家が必要する情報を、株主や機関投資家のための情報にして整理し、かつ自社の魅力を引き立てるかたちで、提供することを心掛けてください。

 

その先のIR活動

 

次に、「その先のIR活動」として、ぜひともご提案したい、ご検討頂きたいのが「社内向けIR」になります。

 

IRは外向きの情報発信活動がメインとなりますが、企業間比較・財務分析比較・業界予想のプロフェッショナルである機関投資家やアナリストからの意見や、アナリストレポート内容は、外から自社を見るうえで大変に有意義な財産となりえます。

 

その情報を社内内部に還元し、事業展開に活かすところまで考えて頂きたいのです。

株式市場において、どのような点に価値があると評価されているのか、又はどのよう点をリスクとみられているのか、どの事業内容に注目があるのか…など。

経営者及び各事業部担当者はもとより、一般社員に対しても、「社内向けIR説明会」などを実施し、IR情報を共有することは、競合力強化・事業課題解決を全社的に進めるうえでも大変に有効だと考えます。

 

さらに、IR活動に対する社内の理解、関係部署とのパイプ作りにも大変効果があります。

「その先のIR活動」として、良い意味での「内向きIR」、ぜひとも考えてみてください

 

最後まで目を通し頂きまして誠にありがとうございます。

 

いかがでしたでしょうか?

 

IR活動へのお悩みの事項などがありましたらお気軽にご連絡ください。

もちろん守秘義務遵守前提で、『御社の魅力を最大化するIR活動』を一緒に準備して行きましょう!

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